居住者と非居住者ってよく聞くけど、どう違う?税金はどう違う?

海外赴任や海外移住、海外投資などに関する税金の話では、「居住者」と「非居住者」という言葉がよく登場します。

実は、この区分によって日本で課税される所得の範囲が大きく変わるため、海外に関わる方にとっては非常に重要なポイントです。

居住者とは?

所得税法では、次のいずれかに該当する人を「居住者」としています。

  • 日本国内に住所を有する人
  • 現在まで引き続き1年以上、日本国内に居所を有する人

ここでいう「住所」とは、単に住民票がある場所ではなく、生活の本拠(生活の中心)がどこにあるかによって判断されます(所法2①)。

居住者は世界中の所得が課税対象

居住者は、さらに「永住者」と「非永住者」に区分されますが、一般的な日本人の多くが該当する永住者については、全世界所得が日本の所得税の課税対象となります(7①一)。

つまり、

  • 海外で勤務して得た所得
  • 海外の銀行預金の利子
  • 海外株式の配当
  • 海外不動産の賃貸収入や売却益

なども、原則として日本で申告・納税の対象となります。

非居住者とは?

これに対し、「非居住者」とは居住者以外の人をいいます。

非居住者の場合、日本で課税されるのは国内源泉所得に限られます(7①三)。

そのため、海外で得た利子や配当、海外不動産所得などについては、原則として日本の所得税の対象にはなりません。

居住者か非居住者かで税金は大きく変わる

このように、居住者と非居住者では、日本で課税される所得の範囲が大きく異なります。

そのため、海外赴任や海外移住をした場合に、自分が「非居住者」に該当するかどうかは、税務上非常に重要な問題となります。

「海外に住んでいる=非居住者」ではありません

「海外に住んでいるから非居住者」と考えられがちですが、実際にはそう単純ではありません。

居住者か非居住者かの判定については、

  • 家族がどこで生活しているか
  • 生活費をどこへ送金しているか
  • 日本の住居を引き続き維持しているか
  • 勤務実態はどうなっているか

など、さまざまな事情を総合的に考慮し、生活の本拠がどこにあるかによって判断されます(東京高裁平成20年2月28日判決)。

そのため、海外に長期間滞在していても、日本に生活の本拠があると判断されれば、非居住者とは認められないケースも少なくありません。

判断に迷ったら専門家へ

居住者・非居住者の判定は、その後の申告義務や納税額に大きく影響します。一度判断を誤ると、後日修正申告や追徴課税が必要となる場合もあります。

海外赴任や海外移住を予定している方、すでに海外で生活されている方で、ご自身の居住者区分に不安がある場合は、早めに国際税務に詳しい税理士などの専門家へ相談されることをおすすめします。

※ なお、給与所得については、勤務場所や雇用形態、租税条約の適用などにより課税関係が複雑になるため、本記事では説明を省略しています。

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この記事を書いた人

平 剛史のアバター 平 剛史 大阪市中央区の税理士(元国税調査官)

近畿税理士会南支部所属。税理士登録番号第157314号。(https://www.zeirishikensaku.jp/NzBranchMembersListPerson/List/NDA%ef%bc%9d/MzA0)
国税局・税務署で20年以上にわたり、国際課税、所得税調査、法人税調査、調査審理など、幅広い税務実務に従事してきました。
国税局では、課税部全体を総括する部署や個人課税の運営を行う部署において国際税務専門官の事務運営に従事し、資料調査を専門とする部署において法人税特別調査に従事しました。
税務署では、国際税務専門官付き職員として国際課税に係る広域的な所得税調査に携わるほか、広域的な所得税の特別調査や広域的な調査審理にも従事しました。
現在は、これまでの経験を生かし、国際課税(RSU・ESPPを含む海外投資、海外取引)や税務調査対応を専門とする税理士業を営む傍ら、税金のことでお悩みを抱えている方のために微力ながら何かのお役に立ちたいという思いから、税法実務に関する解説などを発信しています。
詳しい経歴は「当事務所の代表税理士プロフィール」(https://t-cpta-office.com/)をご覧ください。

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